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サムネイル1回

南の島の小さなアソビ@

与那国島へ30kgオーバーのイソマグロをつりに行こうとする当日の朝、なんと、台風15号が石垣島の南で発生してしまった。

待ち合わせの店に現れた友人の石垣長宏さんは、「台風だよ、台風!」と叫びながら入ってきて、これで全てが中止ということになってしまった。

お世話になるはずだった、与那国島漁協のおつじさんにお詫びの電話を入れ、当日のチケット解約をして、後始末をした。二人は、この日何もする事が無くなってしまった。

 

そこで、ぼくは何回か遊びに行っている、島の北部にあるマングローブの川「吹通川」に行こうということになった。

タックルはウルトラライトに4Lb、小さなポッパーとミノーを何個か、ゴム製の2人乗りのカヤックを使い、満ち潮にのって、この小さな川を釣り上がってみようということである。

河口からカヤックを降ろし、橋を潜って遡っていくと、あたり一面、八重山ヒルギの群生林が現れる。

完全に水没する八重山ヒルギの森は、ほとんど人の入った気配がない。水鳥が驚いたように飛び立ち、15分も漕いで行くと、風も音も消えて行く。

二人、適当な浅瀬に降りてキャストを開始すると、たちまち小魚が釣れ出した。

カーシビ(ゴマフエダイ)、ガーラ(ヒラアジ類)、カマサー(オニカマス)、ガチマヤ(コトヒキ)、チン(クロダイ)・・・・。ワンキャスト・ワンフィッシュ。みんな手のひらサイズ。石垣さんは、目を丸くして面白がる。

 

 

 

1時間も釣っていると、すっかり飽きてきたので、カヤックでさらに奥に入ってみようということになった。

生い茂るマングローブの中は、カヤックが1艇やっと通れる程で、迷路のように水路が入組んでいる。思ったよりも深い。

さらに驚いたことに、マングローブの周りには、多くの魚たちが泳いでいて、逃げようとしない。

手が届きそうな所で、バシャッとくる。

しばし、フィッシュウォッチングを楽しんでみながら、この自然の迷宮を散策した。

 

 

大きいばかりが南の魚ではない。この小さな小さな魚達は今、マングローブの揺り篭で育っている。

この揺り篭がなければ、あの20kgオーバーのジャイアントも、この島の周りにはこれほど多くは生息しないであろう。健全なマングローブの森は、魚達の幼稚園みたいなものである。

この森の中でのフィッシュウォッチングは、心の栄養になる。

リフレッシュする、優しくなれる、自然とニコニコしてしまうなどと、数々の効用があるみたいで、特に胃の弱い釣り師には、お勧めである。

ただし、この小さなアソビのルールは、決して魚を殺さないように使用と思う。日本中の森や川が同じルールになれば良いのだ。