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サムネイル103回

アラフラ海・ティウイ島のバラマンディー前編

 

 

 

 

 

ティウイ族の住む島はバラ天国

ティウイ島はニューギニア本島とオーストラリア大陸との間にある水深200m以下の浅いサフル大陸棚の海、アラフラ海の小島である。元々ニューギニアとオーストラリアは、ひとつの大陸でサフルランドと呼ばれていた。4万年ぐらい前に陸続きであったニューギニアからアボリジニー(オーストラリア原住民)が渡ってきた。

彼らは、自然の幸が豊かな今の北部海岸に住み着き、オーストラリア全土に生活圏を広げていった。やがて海進が進みアラフラ海が現れた。オーストラリアニューギニアと切り離され大陸として独立し、その時ティウイ島が孤立した。だからティウイ族の住むティウイ島は、独自のアボリジニーの文化が発達した。

「ティウイ島は、すごく良い所ですよ!バラ天国ですよ!!観光客も自然保護から旅行会社を通さないと勝手に行けない。」と、エガワ君

「オーストラリアだから“キィウイーフルーツ”が生えているんでキィウィー島なの?」

「キィウィーじゃ無いですよ!ティウイですよ。」

「似たようなものだろう。」とふざけて言うと

「全然違います。その島はティウイ族というオーストラリア原住民アボリジニの一族の島です。」と真面目なエガワ君は答えた。

「今回は、オーストラリアの日本人ガイドも含めて市ノ川君が全てプロデュースしてくれたのです。」と続けた。

成田で、お馴染みの遠藤ディレクター率いる釣りビジョンの撮影隊と合流し、午後10時にカンタス航空で発って午前4時にケアンズに着いた。ケアンズでオーストラリアのガイドの永原君と落ち合った。永原君は、元々ぼくと同じ八重山諸島の小浜島のリゾートでフィッシングガイドをしていた。ぼくが1988年に石垣島に移り住んだ頃、彼は一度東京に戻ってからオーストラリアに渡ったらしい。

「もう、オーストラリアに住んで十年以上になりますね。初めはダイビングの仕事をしていたのですが、釣りではオーストラリアはスゴイ所でしょう!直に、はまりましたよ。特にGTとバラマンディーはスゴイですね。

だから、東京のFPO(フィッシングプラニングオフィス)の市ノ川君に、鈴木さん方のコーディネーターガイドを頼まれたのですけど、仕事抜きですよ!」と、続けた。空港を出てから、永原君の用意してくれていたホテルで昼近くまで仮眠を取り、午後2時の国内線でノーザンテリトリー州北部ダーウィン市に向かった。

翌朝6時にティウイ島行の10名乗りの小型プロペラ機に乗ることになった。

左から、筆者・釣友のエガワ君・コーディネーターの永原君

 

ところが、この小型機は荷物の重量規制があって1人、15kgまでということなのである。

我々は、日本からロッドを入れてきたケースをダーウィンのホテルに預けてロッドをフリースケースに入れた。

荷物は非常に強いターポリン生地で作った大型のソフトバッグの中にダンボールをいれて、バッグ自体を軽量化し(バッグのみで1.4kg)鍵がかかるように工夫していた。2名でトータル30kgに荷物を抑えた。

実を言うと、このソフトバッグで、ぼくは石垣島から釣道具を運んで来たが案外丈夫であった。

最近、各航空会社は荷物の重量オーバーに厳しい。海外旅行用ハードバッグやロッドケースだけで10kgを超えるのに、総重量20kgは、海外釣り遠征に行くには所詮無理な話であるから、この巨大な防水ソフトバッグは使えると思った。

ティウイ島メルビルの上空にさしかかると、飛行機は大きく旋回して着陸態勢に入った。

島は石垣島の5倍ぐらいの広さがあって、ほとんど山はない。

島の真中は、かつて大きな川であったと思われる海峡があって島を2分割している。それぞれ東側がメルビル島、西側がバサースト島で、この2つの島を合わせてティウイ島と呼ばれている。

メルビル島は、広がる森に蛇行する川がいたる所に出現する。その川は全てマングローブ林が覆い、手つかずの大自然が、そこにはある。

「すごいですね!鈴木さん!バラ天国ですよ!!やっと来ましたね!」と、エガワ君が興奮気味に川線を指さす。

「着いたら直に釣りに行くことになっていますから・・・。」と、続けた。

 

メルビル島の川、これがバラ天国だ!!

 

巨体のガイド

ガイドのバッファローは100kgを超す巨体である。ボートは4名乗りのアルミフラットボートに90馬力のエンジンが付いている。

永原君の用意してくれたガイドは、なんとオーストラリアのバラマンディートーナメントのチャンピオン。

日本でいうなら、ぼくの友人の村田基君みたいな立場の人である。失礼だがぼくの方が若く見えるけれど、歳は42歳、バラに魅せられてダーウィンで10年、ティウィ島で10年ガイドをしているという。

「1時間走って、バサースト島西岸ロッキーポイントの川に入るけれどOKかい?あっ、その日本製の防虫剤は効かないから、これがイイ。」と、オーストラリア製日焼止め入り防虫剤を渡してくれた。

永原君を見ると、既に白い帽子が黒くなっている。エガワ君がダーウィンのスーパーマーケットで買った殺虫剤をスプレーすると白い帽子の形が現れた。

「このハエは刺さないです。」と、バッファロー。

それでもぼくとエガワ君は殺虫剤をボート中にまくと、アルミニュームのシルバーが見えた。

「すごいハエですね・・。」

「たまに来る人間が珍しいのかな?」と答えた。

ボートがハイスピードで走り始めると嘘のようにハエは消えた。

「何にもないね・・・。」

「でも、バラはいるんだよね!」

「バラは居ます・・・!」と、横から永原君の声が聞こえた。

「ところで釣った後、ワニが多いから水に手をつけてリリース出来ないですよね?」と、エガワ君。

「ワニは多いけど、我々よりワニの方が先に見つけてくれるから、よく周りを見て魚を逃がせばいいよ。」と、バッファロー。

ガイドのバッファローは快適にボートを飛ばす

  

ゴツゴツした動物

しばらく走ると、赤褐色の土で覆われた平らな島の終わりから、砂浜が続いているのが見えた。

しかし、サンゴ砂が混じっているようで少し白い。ガイドのバッファローは、遠くに何か見つけたようでボートのスピードを緩め始めた。

「大きいね。4mぐらいかな・・・」と呟いた。

海岸に黒く寝そべる動物はゴツゴツした岩のような凹凸で、半開きの大きな口からは荒いノコギリのような歯が見える。

「大きいですね・・あれじゃあ、人間も一呑みですよ。まるで恐竜だ!」と、エガワくんが買ったばっかりのデジカメを構えた。

動物に近づくために波打際に寄せると、ボートは小刻みに揺れ出した。メルビル島は、かなり大きなサンゴ礁に囲まれているのだから、この砂浜は内海となる。が、大き過ぎる内海は波長の短い波がいろいろな方向から打ち寄せている。

「背中に何かコブがありますね。もしかして、死んでいますか?」と、エガワ君がけげんそうな顔で続けた。

「背中をスクリューでやられて死んでいるね。」バッファローはあっさりと結論を出した。

  

海岸に横たわるワニ・・背中をスクリューにやられて死んでいた。

 

バサースト島のバラマンディー

ロッジから1時間ぐらい走っただろうか、河口に近づいたらしく海の色が少し褐色がかってきた。マングローブ林が突然広がり、もうそこは川の中であった。

「浅いからトップがいいよ!」と、バッファローが言う。

マングローブは八重山ヒルギに良く似ていて、根が細く入組んでいる。ボートはマングローブの生え際の浅瀬に近づいた。

「マングローブの中から流れ出しが見えるだろ?褐色の水の中に黒く溝が出来ている所・・・」と、バッファローは指をさす。

「そこの溝にバラはいるから、一度流れに沿ってマングローブの奥にルアーをいれてから、ゆっくりと引くんだ。浅いからトップがいいよ!」

ぼくは言われた通りにルアーを投げた。もともと、ぼくは広いところで100g以上のポッパーをブン投げているのだから、上手く投げれないだろうと思っていたが偶然、ルアーはマングローブの奥に入った。

ロッドは“ナロークイッカー”という4・5フィートのショートロッド、

リールは2500Exi、ラインはアヴァニ3号、ショックリーダーはスーパーステルス50lb、

ルアーはアヒル君。

“ポコポコ”と10cmぐらい動かしてポーズをとる。また、“ポコポコ”と動かして1秒ぐらいポーズをとる。

それを繰り返していると突然水が割れてバラマンディーの大口がルアーを水ごと吸い込んでしまう。

“バシャーッ!ドクン!”まあ、こいつはファイトが派手な魚である。吸い込んでから合わせても遅くないくらい、バラ釣りは遅合わせであるし、ファイトが派手な割にラインは出ない。

「バラマンディー!!」と、バッファローは叫ぶと、50cmくらいのバラはすんなり寄って来てすぐ網に収まった。

そこからが天国である。1投ごとに反応がある。

「バラはこんなふうに下をむいて泳いでいるんだ。」バッファローは手を斜め下に向けて前に動かした。

「だから目が比較的、上に付いていて寄っている。こんなふうに。」と自分の目を寄せながら話が続いた。

ボートは更に川の上流に向かうと、所々に小川が流れ込んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度はミノーが良いね。バラはさっき説明した通り、下を向いて泳いでいるけれど目は上を向いている。だから自分の顔より下のルアーには反応が少ないんだ。ミノーを目の少し上をゆっくり流して止めると一発でね。ストラクチャー(障害物)が多いからフローティングミノーが良いよ。“コツ”ときたら止めて浮かせる。ストラクチャーを越えたところで、また泳がせると良いね。」

「バラは吸い込む感じでルアーにバイトするから、あたりが解かり易いよ。バイトしたら直に合わせてはいけない。ロッドを持ち上げるぐらいゆっくりとソフトに合わせるんだ。」と、永原くんが補足してくれた。

ぼくは、ミノーにルアーを取り替えると小川の中央の奥に投げ込んだ。

「ゆっくり動かして止める。それを繰り返すのがこつだよ。」と、バッファロー。

リールをスローに1回巻いては止める。

ミノーがストラクチャーに“コツリ”と当たったので止めて浮かせ、また動かし止めた直後、ラインスラックがピンと張った。

ぼくはロッドを上に持ち上げるようにゆっくり合わせると、バラはストラクチャーの住処に帰ろうともがいた。リールのドラッグが“ジジジィー”と鳴ってから、魚は大ジャンプを繰り返して暴れた。

「バラマンディー!!」バッファローの雄叫びがマングローブの森に響いた。

バラはヒットして暴れまくった。

 

   

 

メルビル島の小学校の物置には、楽しい絵がいっぱい書いてあった。           海が穏やかなので移動中は、昼寝をした。

  

活躍したタックル

ロッド・・ナロークイッカーR evolution

オーシャンR evolution

ルアー・・あひるくん・ロングペン20

ライン・・MAXパワー3

ショックリーダー・・スーパーステルス50Lb

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