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サムネイル104回

アラフラ海・ティウイ島のバラマンディー後編

 

アボリジニーのお墓

ティウイ島のロッジは、メルビル島のバサースト島に面した水道側にある。客室はクーラーの付いている部屋が4部屋、バンガロー2棟、テントは木で作られている台の上に設置されている。食堂と客室はワニ除けの柵で囲まれているが、バンガローとテント場には何も無い。

朝飯は7時から、夜飯は6時半からでなかなか美味い。昼はバッファローがサンドイッチと果物を用意してくれている。飲み水は近くに湧き水があって、これもいける。

ぼくたちは撮影機材の関係上、クーラー付きの部屋に泊まった。

それでも湿気は凄く、遠藤君のビデオカメラが1台壊れた。

「昨日の川の手前に良さそうな川がありましたよね?」エガワ君が朝食のベーコンを頬張りながら言う

「あそこには今は行けない。少し前に葬式があった。アボリジニーには、お墓が無いけれど森に埋める。その霊が森をさ迷って食料を探すから、ぼくたちが魚を取ると霊が困る。だいたい半年、霊はさ迷ってから天国に行くらしい。だから半年は入れないんだ。」とバッファロー。

「どれくらい立ち入り禁止なんですか?」

バッファローは地図を持ってきてぐるりと指で囲った。

「鈴木さん、縮尺からして東京の世田谷区より大きいですよ。」とエガワ君が驚いた。

 

 

 

 

 

写真左:オーストラリアでポピュラーな車、トヨタのランドクルーザー     写真右:宿泊したロッジ

    

野生の犬ディンゴ

「今日はメルビル島の東側に行こう。1時間半は走るよ。」と続けた。北端の岬を回ると赤褐色の断崖が現れた。断崖はかなり続いているみたいである。森は断崖の上まで競り出していて大木の根が露出している。

「どんどん、風と雨と波で島は侵食され続けているね。」

「地層がはっきり見えますよね。」

「綺麗だよね。海の色とのコントラストが凄いね。」

バッファローがまた何かを見つけた。

断崖の下にある幅狭い砂浜に小さな子犬が走っている。

「この辺りに人が住んでいるんですかね??」

「あの犬は野生の犬ディンゴ言うんです。とても珍しいね。」と永原君。

「野犬ではなく野生の犬・・始めて見ました!」

ディンゴは4〜5千年前にオーストラリア居住民と共に家犬として渡って来たが、再び野生化し現代に至っている。インドオオカミの流れをくみ、現代の犬の祖先である原形を留めている。余談ではあるが、犬はオオカミから人間によって進化したのではなく、オオカミが自らイヌに進化した可能性が高いとされているらしい。

ディンゴは、ベージュの小型犬で耳が立っていて、かなり痩せている。

バッファローが、またボートを近づけて口笛を吹いたが、反って犬は怯えて断崖を一気に駆け上って逃げてしまった。

「野生だから当たり前か・・!」犬好きの永原君が残念がった。

ボートは再び断崖に沿って走り出した。ところどころに大きな平たいエイが泳いでいる。マンタである。

「浪打際のマンタは始めて見ました。」とぼく。

「凄い数がいるよね。」

「ダイバーは来るの?」

「まったく来ません。」と永原君はあっさり答えた。

「ワニがいるから当たり前ですよね・・」

赤い断崖がしばらく続いて、波打際にマンタがたわむれていた。

 

メルビル島のバラマンディー

更に40分ぐらい走ると突然断崖が無くなって広い砂浜が現れた。

「河口に着きましたよ。あの流れから川に入ります。」とバッファロー。

川に入ると褐色の透き通った水が流れている。

「綺麗な水ですね。」

「この川はメルビル島で1番美しいね。でもバラはデカイよ!」

「あのマングローブの際に投げると良いね。ここはダックがいいよ。」と続けた。

昨日からガイドのバッファローは、このアヒルに似たトップを、“ダック”と言って、えらく気に入っている。

ぼくは木の隙間に“ダック”をキャストした。横で投げていたエガワくんの肌色のダックが消し飛んだ。トップに出るバラは超派手である。

“バシャン!”バケツをひっくり返したようなバイトが、静寂の川に響いた。何匹か釣れるとバッファローはバラが見えるところに行こうと言う。

「見えバラ釣りですよ。興奮しますよね!」とエガワ君。

ボートがマングローブの隙間に入っていくと小さな小川が流れ込んでいる。

バッファローはエンジンを止めてしばらく水面を見ていた。

「あそこにいる・・・。」と半透明の褐色の水面を指した。

「尾びれが見えますね。」と永原くんが小声で言う。

「近づいてきますよ。」

「キャスト!」と、バッファロー。

しかし、投げれる距離を通り越してぼくの目の前2mぐらいにバラは寄った。

ぼくはミノーを尾びれの前に置くように投げてから、リールを巻かずにロッドを“スゥー”と動かした。尾びれは褐色の水の中に消えて万事休すである。が、

50lbショックリーダーがロッドの先端から垂れているぐらい、近くで突然バラがヒットした。“バシャン!ボッカン!ドカン!”引用する言葉が足りないぐらい派手なファイトがロッドトップで起きた。しかもラインをまったく出さずにファイトしたものだから、想像が出きるであろう。

「見えバラ凄い!!!!ぼくもがんばりまーす!」とエガワ君。

エガワ君は流れの奥にダックを投げ入れると直に反応があった。

「飛ばないね。」

「飛びません。」

「エィ!あれ?ヒゲが生えているよ。アッ!キャットフィッシュだ。」

「それマイナス1点です。」とバッファローが笑った。

  

釣友のエガワ君があひる君で釣ったバラ                ボートとロッジと桟橋

 

ティパック(紅茶パック)テク

ポイントを変えてキャストを繰り返す。

「あの奥が怪しい。」とエガワ君がマングローブの幹の下にダックを投げ入れた。

チョコチョコと動かすと直にバラが出たけれどルアーに乗らない。

ぼくも同じところにダックを投げたが、運悪くルアーが枝に引っかかった。

ぼくは、そのままルアーを水面に入れたり出したりした。

枝から垂直に垂れているルアーはちょうど紅茶のティパックのように動いている。10回ぐらい諦めずに繰り返すと、突然バラが垂直に飛び出してルアーに喰いついたが、枝が邪魔して魚は潜れない。釣り上がった状態で押し問答が続いた。ぼくはぼくで、ラインが巻けないのだから、なす術がない。

「バラがぶら下がっている!」バッファローが大声で笑った。

「ティパックテク流行りますよ。」とエガワ君に冷やかされたが、悪い気はしない。

「アー残念!撮ってない・・。」と今度は遠藤君が悔しがった。

 

 

 

  

写真左:アベレージサイズのバラ 

 

シルバークイーン

アングラーは段々と贅沢になるもので、ぼくも例外ではない。大きいバラが釣りたいとバッファローに相談したら、トローリングか海バラだと言う。トローリングを今回は避けて、海バラを狙うことにした。3時ごろ海に出た。海バラはシルバーキングと言われる位デカイらしい。海岸の岩場から伸びている根を住みかとしている。ぼくはタックルを変えた。OCEANという6フィートのシイラ用ロッドにステラ4000H、PEラインはMAXパワー3号、ショックリーダーはスーパーステルス50lb、ルアーはLONGPEN20を付けた。このタックルで80m飛ばしてゆっくりと動かす。しばらくキャストを繰り返すと、かなり沖にボートは移動していた。

岩の割れ目の間にルアーが差し掛かった時、そいつは飛びだした。シルバーの巨体は1mを越している。

まるでカジキのように横っ飛びに跳ね回ってからグイグイと引いた。

その度にドラッグは悲鳴を上げる訳で、アングラーとしてはたまらない。

「面白そー!!」

「面白い!」魚は弱る気配が無い。青い空と青い海そしてシルバーの大魚!

絵に描いたようなシチュエーションである。3分後、魚はボート寄ってネットに入った。

「クイーンフィッシュ・・それにしてもデカイね。日本のそれとは、まったく違うよ。」

「シルバーキングじゃなかったけれどシルバークイーンですね。」

「あんまり日本には紹介されていないけど、クイーンフィシュはかなり面白いですよ。」永原君が締めくくった。

これから3日間、最終日の午後の飛行機に乗る直前まで、釣り天国は続くわけで、エガワ君と2人で釣りに釣った。

気が付けば殆どトップにバラが反応した。これほどトップにヒットしたことは、バッファローにも以外だったらしい。

 

“ダック”ルアーとオーストラリアツアーの新しい風

アヒル君は、「そのダック、オーストラリアで売り出してみないか?」と、誘われるほどであった。初めGTもと考えてGT用のタックルを用意して行ったのだが、あまりGTを見かけることはなかった。ここは、やはりバラマンディー天国という島なんだろうと思った。4日間でバラ70cm級が2本、小型中型バラが16本、その他ターポン、ゴマフエダイ、クィーンフィッシュなど15匹。合計で、ぼく1人で33匹と嬉しい数になった。

最後になるが、このオーストラリアのティウイアイランドのバラマンディー釣行を地道に調べ上げてくれたフィッシングプラニングオフィスの市ノ川君、また、40℃近い炎天下でビデオカメラをまわし続けた根性ディレクターの釣ビジョンの遠藤君、素晴らしいコーディネートをしてくれた永原くん、オーストラリアバラマンディーNO.1ガイドのバッファロー、釣りの良きライバルのエガワ君等々に、誌面をもってお礼が言いたい。

「オーストラリアに新しい風が吹くでしょう!これからも頑張って下さいね。応援します。」

6時間あまりで着いてしまうオーストラリア。どうしてもケアンズばかりに、目が行きがちであるけれど、どうせオーストラリアに行くのなら、休みを後2日延ばしてノーザンテリトリーのバラ天国に行ってみると良いかもしれない。

 

活躍したタックル

ロッド・・ナロークイッカーR evolution 

オーシャンR evolution

ルアー・・あひるくん・ロングペン20

ライン・・MAXパワー3号

ショックリーダー・・スーパーステルス50lb

 

 

 

 

 

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