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サムネイル4回

南の島の小さな遊びA

 

京都から、友人の品川博司君が訪ねて来た。聞いてみると、半分遊び、半分仕事だという。

仕事は、忠さん(常見忠氏)のスプーンの動きを水中で撮影することである。

早速、海に出てみると、天気は穏やかでドンピカ。海水は群青に透けている。あっという間に水中撮影は終わってしまった。さてさて何をやろうか。昼寝には暑すぎるし、やはり釣りということになった。

じゃ、今使ったスプーンで何種類の魚が釣れるか、やってみようということになって、始めてみると釣れるわ釣れるわ。撮影助手の窪田孝幸君は、フライフィッシャーマンらしく、スプーンにストリーマーをつけて投げる。これがまた、大アタリ。

もとろん、バーブレスなのだが、あっという間に10種類かの小魚を釣ってしまった。

しまいには、ぼくに手ほどきをしてくれる始末である。ぼくはというと、夢中で1尾1尾、色とりどりの魚の写真を撮りまくっていた。

  

 

 

 

石垣島から、西表島にかけてのサンゴ礁は、日本最大で、西表国立公園に含まれている。今、オニヒトデに壊滅させられた所が、10年を経て70%近くまでに再生しつつある。

小魚も十分増えてきたが、町やリゾートホテルから出る汚水がリーフ内の海水に徐々に影響を与え始めている。それに加え、マンタやジャイアントで有名なヨナラ水道に橋を架ける調査が始まった。

まあ悲しい話はそのくらいにして、ぼくは休日には時々一人でこの小さなアソビをする。誰にも邪魔されずに、釣っては逃がし、釣っては逃がし、魚のサイズもそれ程でもないし、難しいテクニックもポイントもない。

ただ、浅いサンゴ礁の上を優しい風にまかせてボートを流し、ひたすら投げては逃がしの繰り返しである。

昼はいくつかある無人島に船を着けて昼寝としゃれこんだりする。なんとゆっくり時間が流れること。

実は、こんな釣りが心に必要なのだろうと思う。昼はシュノーケリングで美しいサンゴを見たり、熱帯魚を見たりする。

ボーッと一日は終わる。何を釣ったか何尾釣ったか、あまり思い出せないが、心には大きな満足感が漂っていた。