トップページへimg

サムネイル47回

モルジブ・オルベリ島釣紀

白い砂の島のリゾートから

 

オルベリはモルジブ語で、長く延びた砂洲を言うらしい。実際このリゾートは、左右というよりも東西に砂浜があって、ぼくの泊まった所も玄関と部屋のベランダの前はプライベートビーチである。

夜など、遠浅の海に体を浮かべて大宇宙を見るのも、これはこれで中々良く、日本で見た事の無い星座を見ることが出来る。

つまり、昼は日光のシャワーを浴びて夜は星の夢光を浴びるわけで、何ともロマンチックという他は無い。

室内はデラックスという程のものではなく、さり気なく落ち着きのある内装が返って、居心地を良くしているようである。日本系のホテルだけに日本人スタッフも多く、ハネムーンや家族連れには良い環境であろう。

 

夕方、桟橋に遊びに行くと、ハネムーンフィッシングに行っていた日本人がセイルフィッシュを2本釣り上げて帰っていたところであった。

「いつも、こんなに釣れるのですか?」と、ぼくはこのリゾートダイビングショップのオーナーの岡田さんに聞いてみると、

「釣れる時もあるし、釣れない時もある。でも大体、1尾2尾は釣って来るみたいですよ。」と、さりげなく言う。

釣り師としては、1尾2尾釣れるという所ばかりが耳に残り、ベリーベイトでティージングして、バスタックルやフライでどうかと、この海の可能性を考えてしまうのである。

今回は、海のルアー専門店の店、Flatsを今年川崎多摩区にオープンさせた平山和永さんが全てアレンジしてくれたし、先乗りで4日程前にモルジブの方に入ってリサーチもしてくれていた。

 

朝8時、カタマランの30ftのクルーザーは30ノット近くのスピードで走り出した。クルーは3名、岡田さんに言わせると、今回の釣行でぼくにぜひトレーニングして欲しいと言うことであったが、この3日程で平山さんが既に教え込んでいたのでスタッフはある程度マスターしていた。

オルベリ島から南下し、フェリドゥー環礁を横切って。50マイル程走ると、ムラク環礁の間に丸いお盆のような、小さな独立したサンゴ礁がある。

「2日程前に来た時は、キハダの30kgぐらいのがね、ビューン、ビューンといってヒットしたんだけど、みんな切られちゃって・・・」と平山さんは嬉しいことを言う。

「ロングペンの大きいやつに、ドボンドボンと胸鰭を広げて飛んで来ますよ!」と、岡田さん。

「舌から突き上げるようにバイトして、そのまま急降下していくやつもいて、スピードが半端じゃないから・・・」と続く。

「その日は、1尾も釣れなかったです」と、平山さんは言うものの、キハダはその回遊スピードが速いので、既にこのコーナーにはいないような気がしていた。

一投目に、15kgぐらいのGTがバイトして、その後もGTのバイトが続いた。結局、何だかんだで11連発、11尾ランディングという、よくわからないGTのバイトの記録が出来てしまった。

「なんか、投げれば釣れちゃうんですね。11連発GTがバイトするのは、何でしょうね・・・?」と言って、平山さんは首を傾けた。

 

 

午後に入って、フェリドゥー環礁の南西のコーナーに船を戻した。そこは潮がリーフと水平に動いているのがわかる。クルーザーはアイドリンクスピードで、ゆっくりとここまで流して来たのであるが、この流れの中に入るや、ピタリと止まってしまった。

「3ノットぐらいの潮ですね」と、岡田さんが言う。

「あそこの10mぐらいのリーフから出ているテラス当りが臭いですね」ぼくが言うと、前にいた平山さんが大遠投を試みる。ロングペンをショートパンピングでゆっくり動かすと、1mぐらいの黒い影が5〜6尾スクランブルしながら襲い掛かった。

キャプテンは風があったので、ゆっくりとボートをリーフから遠ざけて、ニュートラルにした。平山さんは素早く巻き取ると、魚はジワジワと深く潜りながら寄って来た。彼は、目をギラギラ輝かせながら、ゆっくりとしたポンピングで魚を浮かせている。やはり、会社を辞めてまでソルトウォーターのルアーショップを開くほどのGT狂なのだなと、ぼくは思った。

「何か引きますよね、こいつ。鈴木さんが前に言っていたように、一尾、一尾よく味わってね、ファイトすると個性が感じられますね・・・」と余裕の一言。フロントデッキ前にGTが浮いた所でクルーがテイラーを掛けたが、そのまま上げることなく、リアデッキのステップに出てテイルバイハンドのランディング。

あらかじめ海水にヌ濡らされているマットの上に置かれたGTの口の中に手際よく海水が送り込まれ、GTに呼吸をさせる。バーブレスフックを外して記念撮影をして、すぐにリリース。

オルベリのスタッフは見事なチームプレイで、GTの鈴木流のリリースシステムをマスターしてしまった。ぼくは、これならここのGTはしばらく楽しめるのではないかと思った。夕方近く、オルベリの近くでベイトフィッシュが浮いていたので、岡田さんが投げると25kgのGTが釣れた。

 

ホテルに帰ると、岡田さんが今日の25kgのGTのお祝いと言って、プールサイドでビールを奢ってくれた。

いささか酔って、夕食を食べた後、フラフラと部屋までの海岸を歩くと、ヤシの木陰からは新月の暗闇の中に眩い星々が光っていた。波の音とパパイヤの花の香りが妙に異国の島を思わせた。

部屋のテラスの椅子に座ると、天の川が水平線から真っ直ぐ延びている。ケンタウルス座、コンパス座、トビウオ座、カジキ座、どれがどれだか良くわからないけれど、きっと、頭の上で光っているのだろうと思いながら、ウトウトとデッキチェアーの上で寝てしまった。

  

 

タックル

ロッド  GIANT86  BIG GAME86

ルアー  クレイジースイマー105  ロングペン100  K-ROGスマート

ライン モーリスアヴァニ50kb

リール VANSTAAL300・シマノステラ10000