50回
モルジブフサァル釣紀
「40キロ」という名のGT
いつもなら、涼しい影を作っているヤシの木が揺れている。風が吹いているのである。 「インドネシアの煙もやっとよくなったんですけど、乾期の北西の風にならないから、ずっとぐすぐずしちゃって…」とつづく。 「助かりますよ…」と、女性プロダイバーらしい、はつらつとした顔に彼女は戻っていた。僕は外国に行って雨に降られることが少なく、特に南の海にでかけるときは、いつも晴れである。人間、信じるものは救われるというのは本当らしく、翌日から僕のいた2週間ほど、ドンピカの天気が続くことになる。 |
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GTフィッシングも4日日になると、手のひらに軽い筋肉痛を覚えながら、「ああ、僕もあと2日で47歳になるんだなァ」と、考えつつロッドを振り回していると、だんだんと無口になってしまうが、本当は、昨日30kgオーバーを1尾釣り上げて気を良くしているのである。 一つのチャンネルを通りかかった時、エッジ沿いに小さなトリヤマがこちらに移動してくるのが見えた。同調させてルアーを小魚の群れに投げて、スピードの乗ったショートシェイクでロングペンを動かすと、その巨体は真下から突き上げ、ルアーに襲いかかり、周りに水しぶきを残して海面すれすれで反転した。 |
キャプテンのハッサンは素早くポートを外洋の方に移動したので、さらにクリック音は激しさを増した。大魚はその巨体をエッジ沿いに泳がせていく。ラインはさらに出されたが、その大きさゆえに浅いリ一フの中には入れないだろうと僕に気付かれたのは、彼の不運である。 外洋より深い所に導きながら、適当な所で鈴木流のリフトポンピングを試みる。 実際この大きさに会うのは多良間島以来で、4年ぶりである。子供のようにはしゃいでいる自分にその時は気付く由もない。 |
何千というGTを見てきたし、いったい今まで何尾のGTを釣り上げてきたか分からないけれど、とにかく4年ぶりの再会なのである。 |
僕は、どうも人の釣った魚の重さはピタリと当てるくせに、自分の釣った魚となると、釣り師になってしまう。だから今回のこの大魚に「40キロ」という名前を付けたのである。 |
活躍したタックル ロッド BG.OCEAN H62 GIANT86 BIG GAME88 リール シマノ ステラ10000H ダイワExi5000 ライン モーリス アヴァニ50Lb / 60Lb ルアー LONG PEN100 CRAZY PEN90 CRAZY SWIMMER105 K-ROGsmart |