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サムネイル51回

バタルファルー釣紀
GTGTそしてGTの環礁

 

ここ数年、僕は自分の誕生日をモルジブで過ごしている。

それは、この国が11 月頃から乾期になるからである。

青い空に青い海、リーフエッジに砕け、白く輝く波、ポッパーがアゲインストの風をきって飛んでいく。動きだしたルアーに、バイトするGT。誰もが絵に描くGT、フィッシングの魅力がそこにはある。

 

モルジブというのは、いろいろな釣りレポートでも書かれている通り、数千の島とリング状の環礁からなる。それが大体、30kmから70km四方に、100個単位で固まっているのが、アトールということになる。
僕も初め、アトールを環礁と訳したが、それは少し違っていた。元々大きな火山島だったのが、風、雨、波で浸食されて陥没し、直径50kmぐらいの大きな環礁となる。

そこにインド洋反流や、南西モンスーン海流が当たり、そこら中に水道(チャンネル)ができると、内海に小さな環礁が出来て、元々の大きな環礁は原型を失い、外輪だけを残して、小環礁の集合体となる。

だからこの集合体をアトールと言い、一つ一つの小環礁をファルーと言うのだと僕は考えている。
ところで、バタルーファルーは、実は独立した直径6km位の、中位の新しい環礁なのである。

ビデオの撮影が終わった後に、筒井カメラマンと入れ代わりに、釣り仲間がオルベリーに到着した。

 

 

3日日に入って、僕の提案でかなり遠くのトリバートファルーに行くことにした。実際昨年(No.36ムラク釣行)ドーニーで、ムラクアトールに行った時には、首都マーレーを出発して、3日日に通過した場所である。ところが、オルベリーの30ノット近く出るクルーザーでは、片道2時間足らずで行けるのだから、驚きである。
 9時半頃、この環礁の北側に着いたのでゆっくりと西側を南に向かって攻め下ると、結構な勢いでGTが飛び出してくる。それも20s前後とかなりのアベレージなのである。
 やり方は、ルアーをリーフの浅い所に投げ入れて、スローショートパンピングをするのである。スローショートパンピングというのは、あまり速くないスピードでルアーを引きながら、1秒間に一回の割りで、ロッドを下から真上に小さくあおるだけである。この新しい方法だと、かなり力が入ったビッグパンピングより全然疲れないのである。それにリーフエッジに波の無い時や、ベイトフィッシュの中に、かなり長時間ルアーがとどまることができる。
 さらにモルジブのように、エッジから5mも離れると、水深が50m近くになるところでは、かなりの深部から時間をかけて、GTが飛び出して来ることが多いのでペンシル等のハイスピードルアーが行ってしまった後、”ボコ、ボコ、ボコ” と3回目ぐらいで、ドカンとくる。

 

 

昨年も同行した上保君が初めにケロッグで20sオーバーを釣り上げると、青梅市の高野君が、ロングペンで30kgオーバーをヒットさせた。さらに日産自動車の森田さんがスマートでドカンと、もう一度高野君に30kgオーバーがドカン。

僕にもその間にドカン、ドカンと来て、なんとも凄い話になってしまった。
「ケロッグのデッドスローパンピングはやめられませんねェ。」と上保君が言う。
「初めは僕も、違うルアーを投げてたんですけど、新しい方法でスマートを使ってみると、はまりますねェ。」と、森田さんも言う。
「なんか30kgオーバーを2匹も釣っちゃって、悪いみたい。」と高野君。
「あんまりでかかったので、すっかり腰に来ちゃいましたよ。」と上保君の友人の山口君。
「ルアーというのは、デザインして作った人が色々な動かし方の仕掛けをする。その仕掛けが型破りだと既成概念にとらわれた人には判らない。初めに僕が教えてしまえば、なんだということになるけれど、その答えを教えなかった。知恵の輪を解くみたいに少し悩んでから、釣り上げると、なんとなく感動も大きい気がして…」と僕。
と、まあ、その後爆釣が続き、午前中だけで20尾近くGTを釣り上げることになった。
 昼食をとるために、ファルーの南側の水道から内海に入ると、10尾近いマンタが水深8m位の所で泳いでいる。食事の前にひと泳ぎすることにして、シュノーケリングセットを借りて海の中に飛び込むと真っ白な砂が拡がっている。

  

 

 

 

 

 

一度潜って海底まで行き、少しじっとしてまわりを見る。海底の砂は、純白の拡がりを見せ、海中はボーッとした薄青色の世界である。

そして海面は、屈折率の強いダイヤモンドダストのようにキラキラと輝いていた。20秒程で体が慣れたので、僕は一度海面に戻り、ゆっくりとマンタに近づいた。15mぐらい近づいた所で平行に泳ぎながら、じわじわと距離を縮め2〜3mの所まで寄って、再び平行に泳いだ。
マンタは、真っ黒い背や、白い腹を交互に見せながら、ヒラヒラと舞うように泳ぐ。マンタというのは、3m前後もある、大きなエイで、プランクトンや小魚を常食として性格はいたっておとなしい。
一頭に付き添って5分はど泳いでいると、前方からかなり大きな、ボスみたいなヤツがまっすぐに僕に向かってくるのが見えた。黒々とした口の中に大きなエラが見え、その向こうに青い海が透けて見える。かなり接近した所で、僕はまっすぐ5m位潜ると、頭上を、スゥーと抜けるようにマンタが通過して、大きく宙返りをした。僕は何か嬉しくなって、じっとしていると、さらに何頭かが集まってきた。午後に入って、西側を攻めてから、オルベリーに帰った。
釣りは今回のように何日やっても飽きないものらしい。同じ魚を毎日毎日同じ方法でやるのだから、いつか飽きるのではないかと思いつつ、10数年がたってしまった。
疲れる釣り、大変な釣り、苦労する釣り、お金のかかる釣り、釣れない釣り、悔しい釣り、忍耐の釣り、体力の釣り、とまあ、GTフィッシングは色々言われるけれど「やれるうちにやりなさい。」と、かの巨匠が言ったように、僕はやれる内だけやっているのである。
楽しいかどうかは、どうもこの釣りに限っては、釣っている最中は感じないもので、その分後から結構ジワッと来る。

大きな魚を釣ると、どうも思い入れが入って、いつもそうであるが写真の大魚は小さいのである。

 

 

活躍した使用タックル

ロッド  B.G.OCEAN H-6.2、BIG GAME86

リール  ステラ10000H、EXi 6000

ライン  アヴァニー50Lb、40Lb

ライントリートメント  天龍アパチ

ルアー  ケロッグ、ケロッグスマート、ロングペン100

旅の問い合わせ

ワンダーブルー (03-5791-5686)