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サムネイル81回

沖縄本島北部海域の島々

万座から伊是名島・伊平屋島そして辺戸岬

 

快適なクルーザー
沖縄は、梅雨期を迎えている。
本来なら雨がしとしとと降って花冷えのする季節であるが、今年は2月から4月まで土砂降りが続き、5月初め梅雨に入ったとたん晴れが続いている。この分だと、このまま梅雨は明けてしまうだろう。そして、ハーリー祭が終われば本格的な夏になる。
今日は、5月28日、朝10時に本島中部の万座ビーチホテルから出船した。前日に与那国から石垣で釣り道具を入れ替えて、夜にこのホテルに入った。53ftのクルーザーは室内に冷房が利いていて快適である。

 

伊是名島の根
昼頃までパヤオで小さなジグのテストをしてから、沖縄北部海域に浮かぶ伊是名島に向かった。

1時間ほどで着くと、沖に潮を被っている岩が見えた。GTは多分そこに居るのだろうと思いながら、ボートを近づけて、ぼくはルアーを岩ぎりぎりにキャストした。
波が岩の回りにまとわりついている。泡の中から影が現れ、ルアーに襲いかかった。小さなカスミである。
すぐにリリースして今度は岩から少し離れている沈み根に狙いを定めた。

今度は、巨大なGTが現れて、ルアーの後ろにピッタリとくっついて追ってくる。
ルアーをシェイクして、一度止めてから、トゥイッチングで誘ってみたけれど、魚はスッと消えてしまった。そのポイントでは再びGTは現れなかったので、近くの広い沈み根に向かった。

伊藤君がぼくの使っているモンスターCCを投げてみたいと言うので、タックルを交換した。
ぼくが伊藤君の持っていたBG・JACK 7.8ftを久々にフルキャストすると、140m近くラインは飛び出した。ロッドを立ててちょんちょんとロングペンをドッグウォ―クさせると、魚がヒットしたらしく、泡のかたまりが出来、弾け飛んだ。魚は、ラインを10mほど引きずり出して止まった。
船長はボートを動かそうとしない。ここは水深は10mを切っているし、リーフとも岩ともつかない、かなり複雑な海底地形である。
GTなら少しのミスで根に回ってしまうが、この魚は水深5mのところを真っ直ぐにボートに向かって泳ぎ始めてくれた。

ロッドを立て気味にして、ゆっくりと泳ぎに合わせながら、リールを巻く。

 

 

 

巨大バラクーダ
2分後、魚がボートの近くまで寄ったので、リフティングに入ると、ギラギラと魚の側面が光り出した。

それでも魚はあまり動こうとしないで浮いた。歯並びの良いキバが光り、ガリガリとロングペンを噛み直すように口を動かしている。

クルーの国吉君が、サーモンネットですくったのだけれど、長すぎて、半分しか魚体が入らない。魚はネットのエッジのところでぶらぶらと不安定な状態になった。フロントからリアデッキに慎重に移動してから、ネットをすくいあげるようにして、3人がかりでランディングをした。1m65pの30s近いバラクーダーである。
「こんなの見たの初めてだよ。伊藤君の頭よりはるかに魚の頭はでかいよ」と桜田君が笑う。

ぼくも、これほどの大きさは見たことがない

 

夜空とバーベキュー
7時を回った頃にやっと陽が沈みかけたので、伊是名島の港に入った。
港にクルーザーを止めてから、スタッフが夕食の準備にかかる。

手際良く60分ぐらいでおいしそうなバーベキューパーティーは始まった。
夜空には満天の星々が輝いている。さそり座、白鳥座、こと座、わし座とすっかり星座は夏模様である。10時頃までクーラーの利いた広いキャビンで話し込んでいたら、眠くなったので、ベッドに入って寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

伊平屋島のGT
翌朝7時に起きて出航し、隣の伊平屋島に向かう。
細長いさやえんどうのような島でも、山々は意外としっかりした尾根を見せている。
北端の田名岬を回ったところに岩が2つ海の中から飛び出している。ベイトが、潮のさざ波と混じって浮いている岩の横に、傾斜した根が少し水色っぽく輝いて見えた。

潮が傾斜した側面側から流れ込んでいるので、根の後ろにきれいな沸き立つ波ができている。
 ぼくは、何投目かにそれを発見してから、ボートが流されて近づいて行くのを待った。ショートロッドで釣っているので、射程距離をうまく測ってからキャストした。ロングペンのブルーマッカレルが海の色と同調しながら、白いしぶきを不規則に上げさせた。

ダツやサヨリの長系の魚がもだえている演出をルアーにさせているのである。影は、水色の根を遮るように現れてから、一回消えた。
ルアーが根から15mぐらい離れた所で、真下から突き上げるようにGTは飛び出したが、水に押されてルアーが海面から浮き上がったので、空振った。反転して魚は頭を横に倒すようにくねって、再びルアーに襲いかかった。
 ルアーは魚とともに海中に消えて、ロッドに重みがのってから、ぼくは鋭くアワセた。
 ラインは15〜16m引き出させれたので、根に回るのを防ぐために、思い切ってリールを押さえた。海底まで魚を行かせてしまえばラインはブレイクしてしまう。ブルブルっと震えるような振動がロッドを揺すったが、魚はあっけなく止まった。素早くリフティングに入り、10mほど浮かせてから、ボートが深みまで流されるのを待った。
1分後、潮の速い瀬からボートは離れた。
「水深何mです?」
「28m!」と船長は叫んでくれた。
ラインは、ショックリーダーまで15m。30秒ほど、そこで魚を疲れさせてから、一気にリフティングした。3分のファイトでGTは浮いた。

 

ヒンガーガーラと呼ばれているGT
30sオーバーのグッドサイズのGTである。黒々としたふてぶてしい顔は、沖縄ではヒンガーガーラと呼ばれている。
ヒンガーとは日焼けの意味で、ガーラとはアジ類の総称である。このヒンガーガーラは、岩礁や根の荒い所についていることが多く、普通のGTは河川など淡水が流れ込んでいるいるところに好んで近づくけれど、ヒンガーガーラは決して寄りつかない。

つまり、ヒンガーガーラは淡水が嫌いなのである。このロウニンアジは、眼径が小さく、体幅が太い。体色は黒っぽく、ウロコが汚らしく見える。性格は獰猛で釣り的に言えば“味の濃い奴”である。

写真を撮って、すぐにリリースした。
もう一つの岩はすぐ近くに見えた。ボートをゆっくり近づけると、手前に平たい浅い瀬があったので、GTの潜んでいる場所を推理してから魚の視界に落ちるようにロングペンをキャストした。

すぐにGTは反応して追いかけて来たけれど、ボートとの距離が短く、ぼくと魚の目が合ってしまって逃げられた。

 

 

辺戸岬へ
田名岬の沖に良い潮目があったのでジグを落としてみたが、突然、クルーザーの魚探の調子が悪くなってしまった。それでも伊藤君がイソマグロの小さいのを釣った。
午後から本島北部の辺戸岬に向かった。40分ほどで着くと岬の上に観光客の集団が見えた。

潮は最干潮になって止まっている。ボートをさらに近づけると、ヤンバルの森の中から巨鳥が覗いている。あまりにリアルなのでクルーザーの喫水ぎりぎりの水深までボートを近づけて写真を撮った。なかなか見事なヤンバルクイナのレプリカである。遊んでいると潮が動き始めたので世波崎の沖の根に向かう。
潮通しがかなり良く、潮下にはまるでベイトフィッシュが浮いているようなさざ波がたっていた。

船長は遠くでボートを止めてエンジンを切った。流れに任せてGTに気づかれず近づく作戦である。
ところが、根に一番先に近づいたのがボートのリヤデッキである。ぼくはフロントにいたので届かない。万座ビーチホテルのスタッフで友人の金子君が上手くS−POP120をポイントへ入れた。巨大なGTが現れてルアーを一飲みにして消えた。屈強なBG・JACKが弓なりなってからリールが悲鳴を上げた。
「止まらない!」と誰かが叫んだとき、勝負はついた。
「でかすぎますよ!」と金子君。
「そこを何とかするのがアングラーでしょう」と桜田君は笑った。
「どーすれば良いですか?」伊藤くんがぼくの顔を見た。
「気合いと言おうか?殺気?違うな、才能、慣れ、上手く言葉が沸かない」と答えた。

ひと言でいえば、本当は“クールな気合い”なのであるが、たった今、ラインブレークしたばかりなので言葉を飲んでごまかした。

 

活躍したタックル

ロッド MONSTER・CC  BG・JACK

ルアー LONG PEN100  S-POP120 BigHead

 

旅の問い合わせ

万座ビーチホテル 

レジャー事業部ビーチセンター 098-966-1307

OVERJOY 098-966-2050