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サムネイル88回

 

石垣島のGTキャプテン

 

石垣島のフィールド

少し、ぼくの“石垣GTひいき”と“思い入れ”に付き合ってもらいたい。

ぼくが、88年に石垣島に移り住んだことは、本誌の読者諸氏は、周知の通りである。それから直ぐに、海のルアーショップとGTガイドサービスを初めたのだから、今年で14年目を迎えた。

つまり、石垣島沖は、GTF(GTフィッシング)専用のガイドサービスが、日本で1番早く始めたGTF発祥の地と言うことになる。

この日本の南西端にある島々の周りには、“石西礁湖”と書いて“セキセイショウコ”と呼ばれる大サンゴ礁群が発達し、その長さは石垣から西表まで、南北に100km東西に50kmと広大な面積を占めている。

黒潮は北赤道海流がフィリピン海溝から折り曲げられて北上し、八重山諸島の与那国島、石垣島、波照間島と言った大陸棚の上に点在している島々を挟み込んで更に北上する。その際、海溝にある栄養の含んだ深海水を、八重山ローム層(砂岩層)で出来ている大陸棚に押し上げる。黒潮の表層流は澄んで栄養素は少ないものの、低層流はこの恩恵にあずかる。

一方、石垣島近海を見た時、島東側は大陸棚の縁に当り、5000m以上の深海から盛り上がって来た海水は、太平洋の方から満ちて来て、100kmに及ぶ石西礁湖に阻まれるが、幾つかのチャンネルと浅瀬を乗り越えて、東シナ海に流れ出す。その時、ミネラルタップリの海水が、石西礁湖のサンゴと魚類に恵みを与える。

取り分け、GTの餌になるベイトフィッシュも大きく多い。つまりGTは、この潮のお陰で固体が大きく力強く、石西礁湖の浅い複雑な海底地形と相まってGTFを世界一、面白くしている。

起伏に富んだサンゴ礁に阻まれて、“石垣のGT”と言うブランドが出来ているぐらい、GTを釣り上げることは難しい。最近、漁師が減ってGTとベイトフィッシュが安定して増えてきたが、百戦練磨のGTアングラーでさえ、ヒットしてランディング出来る確率は30%に満たないし、的確なポイントの読みと正確なキャステングを駆使しないとヒット率も上がらない。

特に石西礁湖内のGTFに絞って言うなら、大型GTと複雑な海底地形は、世界屈指の思考性GTFと言える。一方、島の外洋を見ると、1月は20kg以上のシイラ、5月には300kgを超すクロマグロもやって来るし、5月から10月に掛けてキハダマグロやカジキが釣れ、カンパチは漁師があまり狙わないことも手伝って、通年、生息数も安定している。

 

美しい石西礁湖

 

満月のGTとヨイッパリの島

また、東京と比べてかなり西にあるせいか、日の入りが1〜2時間遅く、12月でも午後6時ぐらいまで明るい。

つまり、秋冬でも釣りをしている時間が長く取れる利点がある反面、1年を通してサマータイムをやっているようなものであるから、島人はヨイッパリで午前様の2時3時まで呑むのはざらである。見かねて、石垣島の婦人会が“シンデレラタイム”と言う奇妙なキャンペーンを年中やっている。

“12時までに家に帰って!”と、旦那に呼びかけているのだが、一向に効果が無いらしい。

夏などは、“良い子は10時に帰りましょう”と、まことしやかな声が聞こえるぐらい、島の夜は子供から老人までエネルギッシュである。その分、昼は生彩が無いので、まるで満月の時のGTに似ている。

  

 カスミアジ                     カンモンハタ

 

年に1度のキャプテン

10月1日午前8時、朝の強い斜光を浴びながら、ぼくはFISHERMAN5号で石垣港を出航した。

ボートは、頻繁に行き交う高速観光フェリーの引き波を受けて、少し揺れたけれど、港を出たところで波は収まり、海はかえって穏やかになった。32fフラット型GTボートは、快適に飛ばし始めた。ホンダ90馬力2機駆けのエンジンは、5500回転で安定して回っている。スピードは、およそ30ノット。北東風3m、波1m、気温29度、秋晴れの石垣の海である。

秋と言っても、もちろん半袖に半ズボンだが、夏とは違い、湿気がない分すがすがしい。13年間、ガイドをしているけれど、ここ3年ほどは、FISHERMAN号キャプテンの座を石垣長宏船長に譲って、自分はアングラーとキャプテンの両立はできないと言う理由から釣り人を決め込こんだ。つまり、釣り道具の開発や取材で世界中を釣り歩いてみたのである。

今日は、今年、初めてキャプテンとして出港した。これも8名のメンバーが、愛知の海のルアーショップ“三河フィッシング”からやって来たからである。実は、FISHEERMAN号は、2艇あって普段は1艇しか使用しないが、こういう時は、ぼくも船長として駆り出される。そんな訳で、10月に入って今年初めての出航となった。

   

リュウグウベラ            ムラサメモンガラ

 

ハイサイ竹富島

港から、水深10m前後の浅い、透明なインリーフブルーの海が続き、5分程走ると八重山の伝統の島、竹富が見えてきた。この島の集落は、とても美しく沖縄一と言って良い。

赤瓦とフク木などの島材で建てられた木造平屋と、バラスと呼ばれる白いサンゴ石を敷き詰めた道が、ハイビスカスやブーゲンビリヤなどの花木、ガジュマロ、ヤラブー等々の常緑樹と溶け合っている。それに青い空、白い雲、強烈な太陽光と、絵に書いたような古き良き時代の八重山がそこにある。観光客は水牛車に揺られて三線(サンシン)の音色と島唄を聴かされ、ゆっくりとした時間の中で、八重山の文化に触れる。

淡い紫のエダサンゴが見え始めると、リーフ内にボートが入ったことを示す。

波のない分、ボートのスピードをさらに増して30ノットになった。島岸に、白いヒメアジサシの鳥山が見える。多分、イケガツオとシムブリの群れが下にいるのだろう。

ぼくは、去年この32フィートの新船にするまで、前のボートにはコンパスも魚探も載せなかった。つまり、このことで感覚を磨ぎ澄まし、海の岩やサンゴ地形を徹底的に覚え、山立てをし、風を見る。波を読み、魚の気配を感じる。海を知ると言うことは、こんな事だと思ったからである。

  

写真中央: 一回で2匹釣れる事もある。

 

ベイトフィッシュへキャスティング

竹富を過ぎたところで、ボートは一度、石西礁湖の太平洋側に入る。

緩いうねりの中、潮がゆっくりとサンゴ根にあたって盛り上がり、いたる所に、ベイトボールが浮いている。

「2時半、80mにベイト」とぼくは指示を出した。

GTボートでは船首が12時で船尾が6時となる。つまり、“2時半”とは船長から見て真横の少し船首寄りのことである。“80mにベイト”とはボートからベイトまでの距離を目測で指示している。だからアングラーはベイトボールの動きを見て何処にどの位の距離を投げるかを判断しなければならない。

黒野君のロングペンが勢いよく飛んで行く。続いて村井君、高橋君、小笠原さんが一斉に投げる。ベイトは驚いて、バシャーと飛び上がるが、ルアーはそれを無視したように動き出す。

「どこを狙えばいいですか?」と村井君。

「ベイトボールの、ど真ん中を狙うといいよ」

「でも、左右にルアーが触れて安定しないのです。」

「見つめて投げると、頭が動かない分だんだん安定してくるよ。」

石西礁湖のGTはミスキャストにはシビアーに答えてくれる。

つまり、キャスティングの読みを間違えると、さっさと逃げてしまうからやっかいなのである。

投げている内に、1時間ほどでアングラー達のキャスティングが安定してきた。

しかし、そうこうしている間に潮の動きが止ってしまった。

潮が止まるとベイトボールは一度沈んで次に動き出す潮の方に移動する。

この時にキャスティングを繰り返していても釣れないし、ベイトフィッシュを不必要に驚かす結果になりかねないので、ぼくは、インリーフに入ってしまう。

 

写真左: 石垣港から出航の様子FISHERMAN5号           写真右: イソフエフキ

 

インリーフの小物

「インリーフで小物釣りでもしようか」と提案するとOKが出た。近くのリーフにボートを入れると、水深は1.5mである。ぼくは、エンジンを切って、風と潮まかせでボートを流す。

「オレンジのラパラがいいですね」と黒野君がワンキャストワンヒットで、小魚を釣り上げてゆく。

アオノメハタ、アミメフエダイ、イソフエフキ、カンモンハタ、カマスベラと良く釣れる。

「これ、バス少年が来たら大騒ぎですよ」とブラックバスの好きな村井君が言う。

「ワーム使ったら、もっと釣れるそうですよ」続けた。

「ワームは、レギュレーションで禁止しています」

「いつからですか?」

「13年前から」

「何故ですか?」と少々不服らしい。

「自分でワームを飲んでみると、すぐにわかるよ。人間も魚も消化器官は同じなのだから、まして体の小さい魚にしてみれば、そのワームは、直径10cm位のソフトプラスチックを、ぼくらが飲んだのと同じなんだ。つまり、ここの魚は、鋭い歯を持っているから、柔らかい物は噛み切って飲み込むが、口は体に比べて巨大で肛門は小さいから、腸に詰まって魚は死んでしまう。だから、ワームを禁止したのです。」

「解りましたけれど、ブラックバスならどうなのですか?」

「石垣島にブラックバスは居ない。それは、ぼくの問題ではない」と答えた。

冷たいようだけど、FISHERMAN号のレギュレーションに付いて説明した。“ここ“の魚についての話で、一般論に置き換えたくなかった。

つまり、自分達の近くの魚は、自分達で決めるべきである。もっと言えば、

このレギュレーションは遊漁船FISHERMAN号の13年間のレギュレーションに過ぎない。

 

小笠原さんのファイト・全員の協力でGTは釣り上がった。

 

GT現わる

1時間もすると、潮が動き出した。11時頃、ゆっくりとベイトボートを近づけて、エンジンを切った。黒野君のスイマーが、ベイトボールの少し手前に落ちた。ルアーは、泳ぎだして、ボート近くまで戻って来た時、海底から飛び出すように、巨大なGTがバイトし反転した。ロッドが、あまりにも激しいベントを示し、固まったリールから“ギシ”という異音が聞こえた瞬間、ラインはラインローラーの部分で切れてしまった。

「あと1mのところで食っちゃった。そんなにドラッグテンション掛けていないのに、8号がブッツリですよ!参ったなぁー」と悔しがる。

「ラインローラーのところから、よく切れるね。でも、大きかった。」とぼく。

こんどは村井君が一番前で投げはじめた。ルアーは練習の甲斐があったみたいで、ベイトボールの真ん中に入った。青いS−POPを動かし、ベイトから外れたところで、ドカン。

「かかっちゃった!!すごい引きですよ!」村井君はロッドを、溜ながら叫ぶ。

「巻け巻け、リフトリフト!」と黒野君が横でアドバイスが飛ぶ。

5分後、GTは浮いて、黒野君がハンドランディング、25sのGTである。

更に、ボートは次のベイトを追った。

風上でボートを止め、再びエンジンを切った。ボートが流されてベイトボールに近づくのを待った。射程距離に入ったところでキャスト! 

ベイトボールの、ど真ん中に投げた小笠原さんのスイマーが消し飛んだ。複数の根をかわしてボートでフォローする。それでもラインは出され、ロッドは満月に曲がっている。

「前の根の下にGTが入ろうとしていますよ!」

「あっ、入っちゃった!」と船首で根をチェックしていた黒野君が叫ぶ。

透明度の良い海は、水深20mぐらいの魚は見えるのである。

「スプールを抑えて!」と指示しボートをバックさせて、引きずり出す。

「出てきた、出てきた!!」と船首から海を覗き込んで黒野君が言う。

「リフト!リフト!リフト!」と誰かの声に小笠原さんは渾身の力でロッドを煽る。6分後、28sのGTは浮いてランディング。

また少し走って同じようにボートを流すと、またドカン!

 

写真左: 高橋君の釣り上げたGTと船長で出ている筆者(文中参照)   写真: 小笠原さんの釣り上げたGT

 

GTポイントの保護

しばらくバイトが続いたが、GTポイント保護のために、5マイルほど離れた別のポイントに移動し、ベイトボールを探すと、黒島の灯台近くのエッジ近くに、ザワザワしたベイトボールを発見した。

ゆっくり近づきエンジンを切った。

高橋君の投げた頭は、赤い黒いボディーのロングペンが動き出すと、遠くから長い魚が飛び跳ねながらやって来て、食いついた。

「バラクーダーが食っちゃいました!」

魚は掛かってからも、飛んだり跳ねたり大騒ぎした後、深く潜り始めた。

「どんどん巻いて寄せなよ」と黒野君が冷やかし半分のアドバイスをする。

と、その時、ギーッと、急にラインが飛び出した。

「え、なに、おかしい!」と、高橋君は慌ててロッドにしがみ付く。

「サメかもしれないよ!」と誰かがからかうが、高橋君の耳には届かないらしい。ぼくも水深があるのでフォローを止めて様子を見ていると、凪の海面から30mの底近くに、少し横になりかけた魚が一瞬見えた。

「おいおい!GTだよ!」とぼくが言うと、

黒野君も覗きこんで「本当だ!GTだよー」

「GTですか、わー、うれしいなぁ」

“信じる者は救われる”というのを再確認させられた思いがした。

「だいたい、サメに食われるのだけれど、GTに食われたバラクーダーもいるんだね。GTはベイトを狙って集まる、ダツやバラクーダーをエサにしている事が、これで良く解るでしょう」とぼく。

まあ良い年は、こんなもので何をやっても釣れる時は釣れるのである。

 

13年目のGTホイント

ぼくは、13年間石垣島でGTのキャプテンをやっていて良かったと思った。

「GTいるじゃない。こんなにいつもいるの?」と誰かが言うと

「ここ何年か、良くなってきていますねぇ。石垣島は」と常連の黒野君が答えた。釣って逃がすという行為は、単純に言うなら“また魚を釣りたいから逃がす”ということになるのだが、これは表向きであって、内面からみると“魚が好きだから逃がす”ということになり、矛盾する。これを西田哲学で言う“絶対矛盾的自己同一”と言う。

つまり、相反するものが、心の中に同居しているということである。このことは仏教的側面を持ちながら、日本人の中に昔から培われてきたと言ってよい。

ただ、プロガイドの世界に置いては“また釣らせたいから逃がしてやる”という単純な図式で良いような気がした。

 

 

 

FISHERMAN6号

この原稿を書いている時に、FISHERMAN6号が、大阪から到着した。冬の南日本を縦断してきたのである。屋久島からトカラの海を渡る時は、マリンチャレンジャーの工藤船長に気象のアドバイスしてもらったり、沖縄本島では、オーバージョイの桜田君が遊びに来た。全工程9日間の旅を終えて、石垣港に入った。

「ソナーや魚探が、反応して、ついつい釣りをしたくなりましたよ。」と回航時、船長を務めてくれた釣り好きのヤンマー西日本、近藤さんが言う。

「波切りがいいですね。宮古から4時間で届きました。途中、多良間島では、ロッドがあったらルアーを投げたくなりました。」と続けた。

ヤンマー西日本と沖縄の南西ヤンマーの協力で就航した遠征用ルアー船は、総トン数18tで405hpのエンジンを2機搭載していて、電子機器も全方位魚探ソナー・1000m深海用魚探・DGPS・レーダー・オートパイロットと充実している。航行海域も北の多良間島から南の波照間島、西の与那国島までと、かなり広い。

GT、カンパチ、イソマグロ、カジキ、マグロ類と幅広く追いかけてみたい。3月いっぱいまでポイント海域調査し、4月1日より皆さんと共に出航できます。FISHERMAN号にとって八重山の海はGTだけの世界からジグも含めたビッグゲームの世界に変わる。

 

ハイビスカス                      ブーゲンビリア

 

タックルの問い合わせ

三河 フィッシング   05637−3−5273

 

活躍したタックル

ロッド・・GIANT 86  YELLOWTAIL BG70  MONSTER CC

ルアー・・S-POP 120 LONG PEN100/110 CRAZY SWIMMER100

ライン・・アバニ60〜80lb