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サムネイル90回

 

パプアニューギニア・ビスマルク海の島々@

バグバグ島とカラカラ島

 

突然の電話

「突然ですが、パプアニューギニアに、釣りに行ってくれませんか?」と、釣りの旅行社マリンブルーの東完治郎君からの電話が鳴った。

それから3週間後に今回の釣行になったわけだが、パプアと言えば釣りの先輩、北村秀行さんである。電話してチョット聞いてみようかと思ったけれど、考えてみれば電話番号も知らないし、何処かに釣りに行っているに違いない。

その内、日常の忙しさと石垣島のバカ夏ボケで忘れてしまい、なんの調べもしないで関空に飛んだ。そこで、同行する友人の高橋くんと、カツオくんが出迎えてくれた。まあ、北村さんのいくつかの記事を読む限り、イソマグロとGTだろうと、だいたいの当たりを付けてタックルを用意した。ぼくにしては、軽率な準備である。

成田、午後9時、ニューギニア航空のA310は快適で、けっこう座席も広い。一眠りしている間に、6時間ほどで首都ポートモービスに着いた。

「荷のチェックが結構うるさいって、本に書いてありましたよ。パソコンあたりチェックされそうですね。」

と高橋くん。

持参の原稿用パソコンをドキドキしながら持ってイミグレーションを通ったが、思っていたより親切であった。

ぼくの、この“パプア人は静かで親切”と言う一番の印象は、帰るまで続くことになる。

 

パプアニューギニアのお面

 

ビスマルク海マダンへ

国内線に乗り換えて1時間のフライトでマダン空港に着いた。マダンは、ビスマルク海に面した美しい港町である。19世紀にドイツ人がビスマルクの植民地政策で入植したころは、巨大なワニが出没しマラリアが猛威を振るっていた。当時、マラリアで死んだ多くのドイツ人の墓が小高い丘の上にあった。はるか昔、ニューギニア島はオーストラリアと陸続きでヤフルランドという大陸の一部であった。が、人類がこの地に足を踏み入れるには、舟の発明を待たなければならない。

 

写真左: 森は海岸まで達している。ヤシぶきの小屋が見える。        写真右: マダンのリゾート

 

BAGABAG島へ

朝5時出港して、BAGABAG島に向かう。船長は無口だけど親切である。クルーのモービーオヤジは、漁師でその辺の海のことは知り尽くしているらしい。

ぼくはBAGABAGをすぐに“バゴバゴ”と読んでしまった。釣り師にとって、「バゴバゴ釣れますよ!」

は夢である。

この字を地図で見た瞬間、連想したのは大漁であった。モービーオヤジに聞くと、バは正しいけれど、ゴはグとの間なので日本語では発音しづらい。2時間かけてこの島に行くわけであるが、このBANDLGRO号は36フィートのクルザーで快適だし速い。海も穏やかなせいか、予定より30分早く着いた。

さて、釣りである。島から2マイル沖にぐるりと島をかこむように、帯状サンゴ礁がある。サンゴ礁は深さが5mくらいあって、その周りは50m以上の水深にかこまれていた。ボートの上から見ると、浅い所だけ細長くライトブルーに光って見えた。

潮は、かなり速く流れていて、所々にベイトフィッシュが小さな群で浮き、潮上に泳いでいる。船長は、初め風上に向かってボートを動かしていたけれど、ぼくにはルアーが投げずらいので、風下にボートを向けてホローの風でキャスティングを始めさせてもらった。

 

飛び上がる魚

何投かするとルアーに魚が食いついて、そのまま空中に突き上げた。ルアーは外れたけれど、エビゾリになった魚と共にキラキラと光って落ちた。魚は再び食いついて、同じ事を繰り返し飛び上がる。そのうちショックリーダーがスッパリ切れて、ルアーが海面に浮くと、それをめがけて、何匹かが襲い掛かる。

バラクーダとサワラの間ぐらいのこのお魚、“スパニッシュマッカレル”といって和名は「ヒラサワラ”だったかなぁー?」思い出せない。ルアーを拾ってみると、もうズタズタになって,とてもさっきまで新品の物とは思えないほどだ。

今度は、カツオ君のルアーに魚が出た。ギラリと横腹を見せてから、バシャバシャとあばれた。船長が「ドッグトゥース!」とさけんだ。20kg以上のイソマグロである。

ぼくは、BigHEADをショットパンピングすると5投に2回ぐらい魚がチェースしてくる。

魚種は様々で、その魚の濃さに驚かされながら1日目は終わった。

GTは5〜10kgばかりだけれど、なかなかおもしろい。高橋さんに言わせれば

「小さい割に、良く引きますね。」と言うことらしい。

クルーのモアビーオヤジは、あれこれ気をつかってくれる。飲み物は、たっぷりあってフルーツにサンドイッチ、

サラダと豪華であった。

 

写真左: 高橋くんが釣ったスパニッシュマッカレル

 

カラカラ島へ

「いろいろなボートに乗って来て下さい。」と東君に頼まれていたので、3日目からはキャプテンブレッドのボートに乗った。ブレッドは完全なオージースタイルの船長である。

朝一番で、「どこに行きたい?」と聞かれたので、“KARAKARA”と答えた。

カラカラ島は、マダンの北東40マイルに浮かぶ活火山の島である。山は富士山の頂を、斜(はす)に吹き飛ばしたような格好である。この日は残念ながら、靄が立ちこめて山頂近くは見えない。

ボートが近づくと、熱帯雨林の森が海岸線まで押し寄せ、その合間にヤシ葉葺きの小屋が並んでいる。リーフは島に沿って帯状にあり、幅は広いところで100m、水深もかなりあって10mぐらいある。

オージーの船長、ブレッドと

 

1投目のGT

ブレッドは、ゆっくりとリーフに近づいてベイトを探す。

「スズキ、6時の方向!」とボートの後ろを指さす。そこには、ザワザワとベイトボールが浮いている。うねりほど大きくない波は、ボートを柔らかく上下させた。

ぼくは、ベイトのド真ん中を割るようにキャストして、ロングペンをゆっくりとショットパンプさせた。ルアーがベイトから少し離れたときに、黒いGTが飛び出した。

一回空ぶったGTは、チョンチョンと動かすルアーの誘いに簡単に乗って来る。さらにじらしていると、かなり本気になって“ガブリ!!”

ブレッドは、ゆっくりとボートをリーフエッジから離して見守る。ぼくは一匹目なので、少し大切にリフティングに入った。オージーの船長は、特に始めの1匹でアングラーの技量を見ようとする傾向がある。しばらく様子を見ていたブレッドが口を開いた。

「水深は100m以上あるから、大丈夫(ノープロブレム)」と念を押した。

際に来たGTの動きに合わせて、ボートを巧みに操る彼も、なかなかの腕前である。

2分後、GTは浮いた。写真を撮ってすぐにリリース。

「なんか、イッパイいますね。」と高橋さん。

「1投目からヒットして、幸先が良いですね。今日も一日がんばりましょう」とカツオ君。

それから、GTのバイトは引っ切り無しに続いていたが、突然、高橋さんのS−POPに、巨大なサメがヒットした。ブレッドは上手く操船してくれるけれど、大きすぎてなかなか魚が浮いてこない。

「大物の練習!練習!!」とカツオ君は高橋さんを励ます。40分ぐらいの格闘の末、サメが浮いた。

「もうだめです。ぼく、今日は大満足!!」と高橋さんは倒れてしまった。

 

写真右: ハイウェーと呼ばれているアオチビキ

 

グレッグバンクの巨大魚

午後になって、ジグをしたいと言ったら「45分走るけど、いいか。」と船長が言う。もちろんOKすると、島からどんどんと沖に離れていく。

高橋さんと海図でチェックすると、カラカラ島から沖に15マイル、マダンからは50マイルのところに「グレッグバンク」という一番浅いところで、水深50mの曽根がある。どうも船長は、そこに向かっているらしい。

1時間後、船長は丹念に魚深で調べてからジグを落とさせた。

320gのレモンイエローグローの長細いロングジグは、すぐに深根に向かって消えた。ロッドはFISHERMANVerticalスピニングタイプの先を詰め、5フィートにし、ラインとジグはアバニジガー6号を480m巻き、ショックリーダーはバリバス130lbを15m、その先にD社120lbフロロカーボン43号を8m付け、15cmほどワイヤーリーダーで補強して、300lbスプリットリングとトリプルフックO社ST5/0の組合せで補強した。

リールはPENN9500SS、ラインローラーをFISHERMANダブルベアリングタイプにチューニングし、パワーハンドを付け、ドラッグワッシャーも変えた。その時点では、スピニング用ビッグゲームジギングにおいて考えられる世界最強のタックルと言って良い。

1分10秒後、水深100mでジグは海底に着いて止まった。ぼくは2回巻いて1回のリズムでリールを巻き始めた。5回繰り返したところで、一度当たりが来たが、少し食い上げて外れた。直に10mほど浅く落としこんで同じリズムで誘うと、今度は“ガリガリ”とジグをガッチリかじっている感覚が伝わってきた。ぼくは、すばやく巻き上げながら鋭く5〜6回あわせて、さらに魚を持ち上げるようにラインを巻き込んだ。

魚は10mほど他愛無く上がり、ラインはスルスルとなんの抵抗もなく回収できたが、そこで魚はピタリと止まった。5フィートのYELLOE TAILvertical・BIGGAMEと名づけた試作だけれど、半端でない大物ロッドは、こともなげに満月に曲がり始めた。ドラッグ8kgからラインは、はじめジリジリと出て止めに入った瞬間、ラインの出方にターボが掛かり加速した。ぼくは、開発中のスピニング用キドニーハーネスからのジョイントをリールにセットすると、両手がフリーになったので、ドラックノブをゆっくりと締めこんで、テンションを10kgに上げながらグローブで押さえこみ、さらに魚にプレッシャーを掛けた。

「ドックトゥース!ベリービッグ!!」と、ブレッドが叫ぶ。

すでに、ラインは180m近く引き出されている。さらに、12kgまでドラッグを上げた。さすがに、魚の動きは鈍り出した。

カラカラ島が見える。

 

狙って釣る大魚

しかし魚はドラックを引きずるように、30m走り止まったが、その瞬間にラインが切れた。ラインは、ショクリーダー先端部のフロロカーボン部からスッパリと切れていた。

たぶん、胸鰭の下にショックリーダーが回り込んで擦れたのであろう。ブレッドも同じ意見であった。

「なんだったんですかね?」とカツオ君と高橋さんが尋ねる。

「サメじゃない?」と答えたけれど、イソマグロだったらどれだけ大きかっただろう・・と胸が熱くなった。

これだけ全てをそろえて、なおも一番弱いところから切れる。

タックルはワイヤーリーダーの長さを、あと20cm長く取れておけばと悔やまれるけれど、30cmもあるワイヤーリーダーが付いたジグに、厳しい自然の生存競争で生き残ってきた巨大な魚には通用しないだろう。

後は「運」ということか・・と、ふと思ったが、やはり大魚は狙ってこそ、釣りたい。それには、リールのスプールとドラック、ショックリーダー、ジョイントのスィーベル、スピニング用ハーネスを、新しく進化させようと思った。

 

パプアニューギニア釣りの先駆者

パプアニューギニア、ここは2002年から、日本から直行便が飛ぶらしい。

6時間あまりで首都に着いて、そこから、以外と便利な国内線が、自然豊かな各地に飛んでいる。たぶん我々にとって、これほど21世紀に魅力的な地域はないと思いながら、

今、日本に帰っている。

この原稿は機上で書いているけれど、再びこの地を訪れることを約束しよう。

また、パプアニューギニアに数年前からポイントの開発に力を尽くしてくれている、北村秀行さん始めとするみなさんに、紙面を借りて感謝しながら、ぼくもパプアの釣りにこれからも参加することをお許し願いたい。

 

パプアニューギニアの花や鳥

 

旅の問い合わせ

ワンダーブルーインターナショナル・・03−5791-5686東 完治郎

タックルの問い合わせ

シーマン・・0792−45−3412 山本カツオ

FISHERMAN・・09808−3−5318

活躍したタックル

ロッド・・MONSTER CC  YELLOWTAIL BG 70

ルアー・・S-POP BigHead   LONG PEN 100 

ジグ・・CRAZY LONG JIG 320g

ライン・・アバニ6号/8号 バリバス170lb 

リール・・EXi6000・PENN9500SS