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サムネイル93回

 

海の向こうは東南アジア!!

日本の最南端・八重山諸島のGT

 

FISHERMAN6号艇登場!

風が南に変わった。

石垣島は4月に入って“ウリズンバカナツ”という清々しい初夏の季節を迎えていた。

バカナツ(若夏)は、南国特有の湿度がなく、乾いた空に太陽が白く輝き、青は青に、赤は赤にと色調も冴えに冴えてくる。

つまり、雲や波の白、青の海、ハビスカスの赤といった具合にそれぞれがはっきりとした色を放つのである。

しかし、風が北に変わると雲が広がり、それらの色々をパステルトーンに変える。だからといって、それは長続きせずに3・4日といった周期で、また南風に変わるのである。雨はというと、土砂降りになるけれど“まめに降る”ということはない。だから、良いのである。

昨年の秋に、長年欲しかったクルーザーを手に入れた。一種の衝動買いをしてしまったけれど、あれこれと手を加えて12月に石垣島まで持って来てもらった。途中、沖縄本島の中部「宜野湾マリーナ」に入港した時に同船した。

それから、石垣港まで3日で入ってミレニアムクリスマスを迎えた。

シーズンの始まる4月に合わせ、2月から本格的に電装や船底などの改装を始め、3月中に完成させて4月を迎えた。

船長は、20年来の友人、山崎勝君が引き受けてくれた。彼は西表の西部を拠点にダイビングサービスと釣船を長くやっており、ぼくの信頼できる船長仲間の1人である。

クルーは2月に一般公募し、石田剛君を選んだ。彼は水産大学校漁業科出身で、練習船でハワイ諸島までマグロを追っかけていたことがあるらしい。その後、水産会社に勤めてエリートコースに乗っていたものの、突然思い立って、ぼくの所にやって来た。

bpぃは4月の1ヶ月間、FISHERMAN6号艇が釣りに出る時は、船長件漁労長うを務めることにした。つまり、ポイントや天候によるスケジュールを決めながら、八重山の海をくまなく探ってみようと思ったからである。

クルーの石田剛君

 

初の出港

兵庫県姫路市にある“SEAMAN”の店長“山本カツオ君”一行がFISHERMAN6号の初めてのお客となった。4月7日午後1時50分、石垣空港で迎えてから「FISHERMAN社」で、ロッドを組んでもらい、2時に石垣港を出港した。

ヨナラ水道から、西表島に沿って西に向かい、鳩間島、うなり崎半島を回って船浮港に入ったのが6時頃である。

「日が高いですね。」カツオ君が言う。

「大阪や東京より、2時間くらい夕日が落ちるのが遅いよ。まあ。一年中サマータイムみたいなものだから・・・」と、答えると、「なんか、得ですね・・・」と、妙に感心されてしまった。

日本の最西端諸島の西側に停泊しているわけで、日本よりも時差が1時間遅い台湾に近い。だから必然的に太陽の高さを考えると、1時間早めたサマータイムということになる。

これは冬に顕著に表れて、一番日の短い12月であっても、日が沈むのは6時頃である。もっとも、その分、朝が遅いからつじつまは合うわけで、どっちが得ということもないが、ことに釣りに関して言えば、これほど有利な場所はあるまい。

ちょっと難しい話をしたが、ぼくがまだ観光客という立場で西表に行っていた頃、漁船をチャーターして、6時頃に出たいと言ったら、その船長曰く、

「そんなに朝早く釣りにでても、魚はみんな眠っているよ。それで、このエサでもない物を見せてもさァー。こんなにたくさん食べる魚がいるのに、わざわざそんなものに食いつく奴はおらんさァー。ここの魚はみんな自分の目の前に来た、ピタロー(小魚)をさァー、こんな具合に食べていればいいんだよ。」

そう言って、両手をくっつけ指をイッパイ広げてから閉じて見せた。

「魚はねェ、潮の虫さァー、風に舞っている小さな虫のように海の中の潮に舞って生きている。だから、潮の風を見てねェ・・・・」と続けた。

実際その通りで、朝早くが決していいわけではないことに、ぼくはやがて気付くことになった。

水深50〜60mの船浮港は国際避難港で、いっぱいブイが浮いていて、そこに何千トンという大型貨物船から、ぼくのクルーザーまで繋留できるのである。

 

新船FISHERMAN6号艇

 

海人カルパッチョと白ワイン

ゴマ油を熱してから、醤油、みりんを入れ瞬間的に煮立てて、それを水で冷やす。“スマカツオ”をブツに切って、今作ったタレに漬け込んで、食べる直前に大きめにスライスしたタマネギを和えて食す。

鈴木風“海人カルパッチョ”の出来上がりである。みんなで白ワインを飲みながら自慢話に花が咲いた頃、フグ調理師免許を持っている石田君が、腕によりをかけた夕食が出来上がる。食べ終わった頃にはライトアップされた暗い海に小魚が集まり、それを狙ってイカやバラクーダが取り巻き、時折、暗闇で“バシャッ!ドボーン”と大型魚のライズが聞こえた。

 

SEAMAN店長のカツオ君のGOODサイズカンパチ

 

1号のGT

次の朝は、風も収まってきたので仲乃神島に向かった。東の根でイソマグロが何匹かヒットした後。GTを狙ってキャストを繰り返す。

昼頃に島影でランチのカレーライスとヨーグルト、フルーツを食べて海水浴を楽しんでから再びGTを狙うが、何尾か姿を見せるもののなかなか釣れない。

夕方、潮がかなり良く流れ出したので、ぼくは西瀬の水深50mぐらいのところから潮と風に乗せてボートを流した。3回くらい繰り返した時に、前で投げていた清田君のルアーに黒い影が近づいたと思った途端、水しぶきが上がり波紋が広がった。

「でけェー!!」隣で投げていたカツオ君が叫んだ。

「アワせろ。アワせろ!もっとロッドを立てて・・・・・・」とアドバイスが飛ぶ。

ぼくは直にエンジンをスタートさせた。風と潮が共に、水深4mの浅瀬の方に勢いよく動いているし、複雑な岩根も絡んでくる。

ぼくは、一度ボートがGTの上まで行ってからリバースに入れて魚を深場に誘導しようとした。

水深10m、ソナーにははっきり岩根が見える。上手くかわしてから、水深30mまでバックする。清田君は必死にロッドにしがみついて良く耐えてくれた。魚も初め根の方に逃げ込もうとしたのだけれど、あきらめて潮上に泳ぎ出した。あとは刺激しないように、そのまま更に深みに移動すれば良い。

20分後、見事なGTは浮いた。FISHERMAN6号艇にとってもチャーター第1号の記念すべきGTである。

「検量してみましょうか?」と、カツオ君。ぼくはオーストラリアで買って来たチョットいい加減でシビアな数字しか出ないハカリを取り出してくると、3人がかりで持ち上げた。

32kgのところで、ハカリの目盛りは動かなくなったので「32kg」と告げた。

「もっと大きくありません?」とカツオ君が言ったけれど、量った以上32kgは32kgなのである。もう一度、量るには魚も限界にきているので海水ポンプでしっかりエラに海水を通してリリースした。

 

写真左:戸田君にの釣ったGT 推定45kg   写真右:武居さんがクレージーロングジグで釣ったイソマグロ

 

船長の楽しみ

船長はアングラーが魚を釣ってくれるのが一番嬉しいことは言うまでもない。が、ぼくの場合どうしても釣り師の血が騒ぐ。当たり前のことだけれど、船長で出港した以上は“釣りをしない”は鉄則である。

このことに気付くのに、実は5〜6年かかった。多くのアングラーが勘違いをして船長になりたがる。

両立している人も、いることはいるけれど稀である。ぼくの場合も同様で両立は出来なかったと言ってよい。

「あと1カ月我慢すれば釣り師に戻れる。」と、ふと思ったけれど言葉にならなかった。

ただ、「清田君、おめでとう!イイGTだ!」と、言った。

その夜は波照間島の港に入り、翌日からジギングに備えた。

 

写真右:朝のクビラ石(西表南部)

 

活躍したタックル 

ロッド BIG GAME 86

      MONSTER CC

ルアー S-POP 200/ 170

LONG PEN 100

ライン MaxPower6号/8号

タックルの問い合わせ

シーマン 0792-45-3412

コテカワークス 0849-40-4870

三河フィッシング  0563-73-5273

シーブリーズ 011-733-3888

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FISHERMAN社 0980-83-5318